水の素質

Photo : Rinko Kawauchi

水の素質

  • 2004
  • オブジェ:70×45×45cm / 鏡:180×180×0.5cm
  • 素材:スチール、鏡、モーター、プロジェクター、DVDプレーヤー

しずく型に成形したワイヤーを暗闇の中で回転させ、波紋や水面など、水のふるまいを
表現した映像を投射します。回転体のうみ出す微かなブレが光線と交わる瞬間、
水面の揺らぎのような現象がうまれました。揺らぎによって表現されたしずくの質感が、
見る人それぞれの記憶の中の「水」を呼び覚まします。

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光が届く限り、無限に連なる合わせ鏡の空間は、しずくが反転を繰り返しながら
見る人の視線を奥へと導いていきます。遠ざかりながら、同時に目の前の
一つのしずくに収斂する、内省的な空間です。いつまでも見てしまうのは、
繰り返し投影されるパターンではなく、二度とは起こらないその瞬間の揺らぎ
を見ているからだと思うのです。自分の頭の中にある「水」を探し当てる
感覚と言えるかもしれません。

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しずくのぷるぷるとした揺らぎと、線香花火が似ていることは
後から気がつきました。水と火というかけはなれたものも、
頭の中では同じになります。

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